こんにちは、カウンセラーいなこです。
先週までは、冬が来たと思っていたのに、この暑さ。
今日のヒートテックは、やばかったです(笑)。
車通勤だと、衣服の調整に無頓着になっていけないなあ。
さて。
心身の検査も、歯医者も、カウンセリングも、一時的には、痛かったり、怖かったり、ショックだったり、めんどくさかったり、恥ずかしかったりするかもしれません。
その向こうに、より快適に生きられる、自分らしく生きられるというビジョンが見えるか?
それが見えるなら、受けてみる価値はあると思います。
根本裕幸お弟子さん制度を卒業したカウンセラーが、寄せられたご相談にお答えする、オンライン無料カウンセリングココロノマルシェ 。
私のもう一つの顔(笑)である、医療職の知識をもって、何かお役に立てるかもしれないご相談を見つけたので、お答えしてみました。
いつものいなこのブログと、少し毛色が違うかもしれません。
まじめか!(笑)
【ご相談】受診への迷い
はじめまして。
ある悩みがあり相談させていただきたいです。
私は子どもの頃から勉強がとても苦手なのですが、大人になるほど知的なものへの憧れが強くなり、何度かそのような頭を使う職業の採用試験を受けました。
一度も受かったことはなく、今までの仕事と現在の仕事は接客業や製造業です。 長くやってもお金管理や発注など複雑なことは任せられません。 教育担当などにもなりません。
先日あるblogを読みました。 それは大人になってから軽度知的障害の診断を受けた方が書かれているものでした。 その方のこどものころの様子、社会に出てからの問題などが非常に自分に似ており、とてもショックを受けました。 今でもとても怖いです。
ですがその方は診断を受けて非常に生きるのが楽になったと書かれており、自分も受けたほうがほんとはいいのではないかとずっと迷っています。
家族ではないのですが、いとこや親戚に知的障害があります。 また小学校一年生の時に担任の先生に知的障害児のクラスに連れていかれ、そこの先生の前で朗読をさせられたことがありました。
最初にも書きましたが、わたしはとても知的なものへの憧れが強くあり、自分は勉強はできなかったし、人より物覚えが悪いけど、知能には問題がないはずだとずっと思ってきました。
ですが、それが人生を難しくしてるのではないかとも思うようになってきました。 バカにされることがすごく嫌で、少しでもそういう素振りが見えるとすぐその人が大っ嫌いになります。 だから年をとるほどに友達が居なくなりました。 恋人は15年居ません。 同級生たちはもう中学生くらいの子どもがいます。
このままないものねだりとやりたいことを混同して憧れ続けてどんどん孤独ななっていって仕事もなくなって生きていけるのだろうかと不安です。
どうしていいのか混乱していますし、生きることに疲れてきています。 もう若い頃のように憧れつづけていく気力も無くなってきてしまいました。
わたしはまずどんなことをすればいいのでしょうか。 勇気を出して診断を受けたほうが良いのかずっと考えています。”
(きたさん)
【いなこからのご回答】
はじめまして、こんにちは。
このたびココロノマルシェに入りました、いなこと申します。
以後、お見知りおきを。
きたさん、ご相談ありがとうございます(^▽^)
軽度の知的な障害があるかもしれないので、受診をした方がよいかどうか、ずっと考えられているとのこと。
ご相談いただいた日から、少し時間が経っておりますが、受診はどうされましたでしょうか。
私は、カウンセラーのかたわら、医療職についておりまして(医療職のかたわら……という方が今は正しいけれど・笑)、何かご参考になればとお答えさせていただきます。
ただ、「医療職として」、個別の症状のご相談などをお受けするには、お薬と一緒で、医師の処方せんが必要です。
なので、あくまでも通りすがりの(笑)カウンセラーが述べた一般論ということでご了承くださいませ。
さてさて、
きたさんご自身が、
軽度の知的障害があるのではないかと心配されて、受診を迷っておられるんですね。
きたさんがご覧になったブログの、軽度の知的障害があると診断を受けて、生きるのが非常に楽になったという方ですが、そういう方もいらっしゃると思います。
私がざっと思いつく、生きるのが楽になる理由を3つ申し上げます。
1.周囲に自分の特性を、正しく理解してもらえるから
知的な障害、特に軽度の場合は、身体的な障害に比べて外見からはわかりにくいものです。
そのため、学校や職場で、できないことがあっても、
本人の努力が足りない
なまけ者
だらしがない
ふざけている
といった誤解を受けやすくなります。
ご本人としては精一杯取り組んでの結果なのに、できない理由が、性格や努力のせいと思われ、つらい思いをすることがあるかもしれません。
そんなときに、「診断名」があると、周囲の方に説明しやすく、理解されやすくなります。
あらぬ誤解で責められることも、ぐっと減るでしょう。
2.適切な対処法を知れるから
もし、知的な能力を心配されて医療機関などを受診されたら、必要に応じて、知能の検査を受けることになると思われます。
検査により、総合的な知能指数が出ます。
そして、それだけでなく、「知能」というものを、もう少し詳細に見ていきます。
「知能」とひと口に言っても、いろいろな種類があります。
たとえば、
知識
ことばの理解
記憶力
推論能力
思考力
処理するスピード
など、いろいろな能力に分けることができます。
詳しい知能検査を受けると、この、知能の中のどの部分が強くてどの部分が弱いのか、その方の中のデコボコを知ることができます。
一般的には、一人の方の中でデコボコはあまりないのですが、知的な低下がある場合、デコボコが激しいことがあります。
たとえば、記憶力は強いけれど、推理する力は弱い、など。
図1.自分の中のデコボコを知り、それを活かす
そのデコボコを知ることで、その人は
どんなことが得意か、どんなことが向いているか、どんなことができるか、
そして、どんなことが苦手か、どんな場面でどんな助けが必要か、
といったことが、具体的にわかります。
それを知っておけば、就職の際にも、事前に説明ができ、その方に向いている仕事をさせてもらえたり、やりやすいやり方でさせてもらえたり、という配慮を受けることができます。
知能検査を行う目的は、
障害がある、できない、劣っている、というレッテルを貼るためではなく、
その人に合った、適切な対応をするため
です。
ですから、ご自分の特徴を明確に知れると、強みを生かして弱みは補う、助けてもらう、ということができるため、生きやすくなるということが考えられます。
3.もし、障害があるとの診断がつけば、障害者手帳などの交付がされ、行政からサービスや補助などを受けられるという利点があるから
診断がつくと、行政や医療機関ともつながりができるので、自分のことを正しく理解してくれて、相談できるところがあるという安心感もできると思います。
ただ、きたさんの場合は、これまで学校などを経ても受診を促されなかったようなので、もしも診断がついたとしても、ごく軽度だと思われます。
なので、障害者手帳の等級も低く、受けられるサービスは少ないかもしれません。
(等級というものがあり、重度で介助をたくさん要する人ほど、東急は高くなります。等級が高いほど、受けられるサービスは増えます。)
以上3点が、ざっと私が思いつく、
診断を受けて生きやすくなる理由かと思います。
とはいえ、診断がついてしまうのは、怖い、ショック、悲しい、という気持ちもすごくわかります。
身体の不調があるときも同じですよね。
何か問題があるなら、早く病院で診てもらって、早期治療をした方がいいのはわかっているけれど、それを知るのが怖い。
決定的に診断を受けるのは怖いものです(ーー;)
ここで少し話を変えますが、この間、いいことを聞きました。
FM802という大阪のラジオ放送局に、中島ヒロトさんという、私の大好きなDJさんがいるのですが、
この間、その方の番組で、リスナーさんから、こんなメッセージがありました。
「ヒロトさん、私は今日、仕事の後、歯医者に行かないといけないので憂うつです。
ヒロトさん励ましてください!」
というものでした。
それに対して、DJヒロトさんは、
「あなたは、痛くなるために歯医者に行くんじゃないですよね?
これ以上痛くならないために、歯医者に行くんですよね??
がんばってください!!!」
と、答えていました。
簡潔に核心をついた、なんてすばらしいお返事!!!
さすが、私の見込んだお方!!!(そこ?笑)
そうなんです、歯医者に行くのは、痛くて怖くて嫌だけど、痛くなるために行くのではないんです。
そりゃ、一時的には痛い思いをするかもしれないけれど、これ以上痛くならないために、悪くならないために、行くんですよね。
これは、歯医者でも、知的な能力の検査でも、身体の検査でも、カウンセリングでも、同じことが言えると思います。
一時的には、
痛かったり、
怖かったり、
ショックだったり、
めんどくさかったり、
恥ずかしかったりするかもしれません。
でも、その向こうには、快適に生きられる、自分らしく生きられるというメリットがあるんです。
この一時的な苦痛を越えて、何が得られるのか?
ちょっと辛い思いはするかもしれないけれど、それを越えてどうしたいのか?
どうなりたいのか?
(これを、「ビジョン」と言います)
それを考えてみて、受診されるかどうか、検討されてはどうでしょうか。
考えた上で、その先に望むビジョンが見えるなら、受診をされるのもいいと思います。
その際は、保健所などの行政に相談に行かれるか、
お住まいの地域で、「成人␣知的障害␣診断␣病院」といったキーワードで検索されてみてください。
しかし、あまりいいビジョンが描けないなら、受診を無理にされなくてもいいかと私は思います。
実際、これまで学校などを経ても、受診を促されておられないようなので、そこまで心配されなくてもいいかと思いますし、
きたさんのくださった相談文も、非常にわかりやすくまとまって書いておられると感じました。←何様(笑)
なので、受診されても問題なしということで、診断がつかない可能性も、大いにあると思います。
判断基準はいつでも、
「それをやって、自分は幸せになるのかどうか?」
です。
受診の目的と、メリットは、以上です。
もう1点、お伝えしたいことがあります。
>私はは子どもの頃から勉強がとても苦手なのですが、大人になるほど知的なものへの憧れが強くなり、何度かそのような頭を使う職業の採用試験を受けました。
>一度も受かったことはなく、今までの仕事と現在の仕事は接客業や製造業です。 長くやってもお金管理や発注など複雑なことは任せられません。 教育担当などにもなりません。
とおっしゃっているのですが、
知的なものへの憧れが強くなったのはなぜでしょうか?
きたさんの思う、「頭を使う職業」に就いて、どんなことがしたいですか?
「勉強が苦手だ」というコンプレックスから、それを補うために、「頭を使う仕事をしたい」と思うようになったところはないでしょうか?
いわゆる、「ないものねだり」というやつですね。
これは、きたさんに限らず、あるある中のあるあるですが、
みんな、自分が持っているものの価値は、大したことがないと低く評価しており、
持っていないものをしきりに欲しがる、という、あれです(笑)。
耳痛し。
「頭を使う職業」には一度も受かったことがなく、これまでは、「接客業や製造業」をしてこられたとのことですが、
では、接客業や製造業が、頭を使わない仕事だと言えるでしょうか?
たしかに、高度な専門的訓練を要する仕事というものもあり、そういう点では、就きやすい仕事なのかもしれませんが、逆に、接客業や製造業が、向いていなくてうまくできないという人もいるのです。
どんな職業でも、みんな、自分のできることをやっているだけです。
野球において、ピッチャーはたしかに花形だけれど、他のポジションもいてくれなきゃ困るし、それぞれに向き不向きがあり見せ場があるのと同じ。
野球大して知らんけど(笑)
そして、接客業、製造業でも、頭を使う必要のある場面、創意工夫ができる場面は、たくさんあると思います。
それは、どの仕事においてもそうです。
どうしたら、お客さんに気持ちよく過ごしてもらえるか。
どうしたら、効率よくできるかな。
どんな仕事においても、頭を使うことは必要です。
創意工夫の余地は、たくさんあると思います。
もし、何か具体的にしたいことがないのに、「頭を使う」と思っている職業に、何となく憧れだけで就いたら、
実際にやってみると、まったく興味を持てずにかえってしんどかったり、
実際の仕事内容が、イメージと違って、がっかりすることになる
という可能性も大いにあります。
大丈夫、そこら中に転がってる、よくある話です(笑)。
そして、向いていない仕事に就いていると、楽しくないわ、上手くいかないわで、自己肯定感がますます下がっちゃうという(^^;;
なので、もし、今のままのご自分はダメだと思っていて、自分をすごいものにするために、憧れだけで「頭を使う」職業に就こうとしていないかは、よく見つめなおしていただけたらいいかなあと思います。
いかにも「頭を使う」、わかりやすいインテリ系の仕事だけがすごいのではないと、私は思います。
どんな仕事でも、その人にフィットして、その人の特徴を生かして働いている人は、オーラがあり、輝いて見えるものです。
そんな人をいっぱい見てきました。
きたさんは、自分の長所はどんなところだと思いますか?
また、これまでの人生、学校やお仕事、ご家族やお友達に、ほめられたことはありませんか?
勉強のようなことでなくても、運動ができるとか、歌が上手いとか、おいしそうに食べるとか、笑顔がかわいいとか、どんなことでもいいです。
私は、文面から、まじめで、丁寧で、向上心の強い方と感じました。
まだまだもっと、きたさんの魅力や才能があるはずなので、「頭をつかう」仕事かどうかという枠組みにこだわらずに、きたさんの才能を活かしてどんなことができるかを考えてみてください。
きたさんの才能を活かせるお仕事を考えてみてもいいですし、今のお仕事でそれを発揮するのもいいですね!
きたさんが、自分を活かして輝きだしたら、それで助けられる人が必ずいるんです。
もしも、軽度の知的障害があるという診断がついたとしても、
「自分に魅力や才能があることを知る」、
「それを活かす」
ということが大事なことには変わりありません。
むしろ、それを知るための、検査であることは、先にお話しした通りです。
そして、それができるのなら、診断名にこだわることもないと、個人的には思っています。
自分で才能や魅力を見いだすのが難しい、どう活かしたらいいかわからぬ、という場合は、カウンセリングを使うという手段もありますよ(//▽//)
ということで、
①受診は、その先にどんなビジョンを描けるかを考えて、検討してみる
②知的(に見える)仕事が何でしたいのか、具体的に考えてみる
③自分の魅力や才能をできるだけたくさん見つけ、それを発揮できることを考えてみる
というのがいなこのお答えでした。
ご相談ありがとうございました!!!
すんごい長くなっちゃった。
読んでもらえるかな(^^;;
でも実際のご相談にお答えできるのは、やっぱり楽しいです。
答えを待ってくれている人がいる、お相手がいると思うと、自分1人でブログ記事書いているより燃えます(//▽//)