'それなりに'うまくいっている→を→'おもいっきり'しあわせに

「それなりに恵まれている方だと思うし、それなりにうまくやってきた。・・・あれ、’それなり’って何だろう?」悪くない人生のはずなのに、心から幸せと言いきれない、このままで終わりたくないと思ってしまう。そんなあなたに’おもいっきり’のしあわせを。 @カウンセラーいなこ

「オペラ座の怪人」をちょこっと心理学的に考察⑤―怪人とセクシャリティ―

 「オペラ座の怪人」をちょこっと心理学的に考察⑤―怪人とセクシャリティ

 

劇団四季オペラ座の怪人大阪公演をしっかり見たさに、メガネを10年以上ぶりに新調しました。

 

’それなりに’うまくいっている→を→’おもいっきり’しあわせに

こんにちは、カウンセラーいなこです。

 

いやあ、好きはコストもめんどくさいも超えていくんですねえ。

 

さてさて、私の冬休みの道楽で、オペラ座の怪人を心理学絡めて語るシリーズ、最後に怪人とセクシャリティです。

 

 

このシリーズがはじめての方は、注意事項をぜひお読みくださいませねっ!

www.aikoingk.com

 

そしてこれまでの考察

①怪人とペルソナ

②怪人の母と罪悪感

③クリスティーヌと投影

④ラウルの愛、怪人の取引

 

 

ここからネタバレしますよーーー!

 

 

怪人とセクシャリティ

 

ここで言う、心理学的な「セクシャリティ」とは、

性的魅力を含めた生命力

本来の自分のありのままの魅力

とします。

 

セクシャリティは、「性的なもの」というイメージが一般的には強いかもしれませんが、それも含めた、

生命力そのもの

生きるエネルギー

と捉えてもらえればと思います。

 

"性"って"生"と繋がりの深いことですしね。

 

 

怪人は、セクシャリティの塊だと思うんですね。

セクシャリティが強いというのは、単にお色気ムンムンということではなく、その人本来の魅力が溢れているということなので、さまざまな形で表れます。

人によって魅力はそれぞれだから。

 

怪人は、醜い顔のために、人々に迫害されてきて、日の当たる場所を歩けなかった人です。

 

だから、セクシャリティも相当に抑圧されていると思われます。

 

いや逆に、セクシャリティが強すぎるからこそ、周りも、自分さえも無意識に、その強大なエネルギーを怖れ、封印してしまったのかもしれません。

 

そして、それを封印するための、「醜い顔」だったのかもしれません。

 

ん?

わかりにくいですよね。笑

 

 

この話には、セクシャリティともう1つ、

「問題の陰に才能あり」

という心理学の考え方とも関係してきます。

 

この「問題の陰に才能あり」というのは、私の好きな考え方の1つなのですが、人は、その才能が大きいほど、その才能を生かせる環境に身を置くことになるんですね。

 

才能とは、英語で"gift"。

神様からの贈り物です。

 

才能とは、両親や出会う人を幸せにするために与えられたプレゼントなんですね。

そして、本来の自分が持つエネルギーでもあります。

 

たとえば、平和の才能を持って生まれてきた人は、ギスギスした家庭に生まれてきます。

その方が、その才能に気づき、発揮するチャンスに恵まれやすいから。

 

平たく言うと、自分の持つ才能の性質がないところに生まれてくる、ということです。

才能は、ありのままの自分が周りの人に与えることのできるギフトだから。

 

ですがその才能に自覚はないため、そんな環境に悩み葛藤しますが、自分の才能に気づいたら、その問題はおしまいになります。

 

先ほどの例でいえば、

ギスギスした家庭環境に生まれ、悩み苦しむけれど、だからこそ平和を求め、そのために自分の平和の才能を発揮し、自分の才能に気づき、自分がそれを周りに与える側になっていくということですね。

 

たとえば、自分が大人になって温かい家庭を築いたり、先生や医療福祉関係者やセラピストなどになって、人を育てたり癒したり、平和な場所を提供する側になったり。

 

喉から手が出るほど欲しいものが得られない境遇に生まれたということは、実は自分がそれを与える側であるということ。

自分が、持ってくる人、すなわち救世主なのです。

 

人生とは、自分の才能に気づき、それを発揮して自分と周りの人を幸せにする旅なのかもしれません。

 

 

ということで、自分の人生で繰り返し起こる問題には、自分の才能が隠れています。

 

そして、その問題が大きいほど、その才能もまた大きいんですね。

 

 

ということは、

皆が目を背ける醜い顔を持って生まれ、人々に迫害され続けた怪人の才能は、いかに大きいか

ということなんです。

 

 

醜い顔を持って生まれた怪人の才能とは何か。

 

それは、美しさ、音楽をはじめとする芸術の才能に他ならないと思います。

 

怪人自身も、クリスティーヌに仮面を剥がされてその顔を見られたとき、怒りながら必死で顔を隠しながらも、

「醜く歪んだ顔だが、心は清らかで美しさに焦がれる」

というようなことを言っています。

 

 

醜いから、美しいものに焦がれるともいえますが、

「問題の陰に才能あり」の考えに基づけば、

美しさ、芸術を感じる才能、作り出す才能があるからこそ、醜い姿で生まれてきた、

とも言えるんですね。

 

しかもその才能がとんでもなく大きいから、徹底的に発揮できるように、問題(醜さ)も大きいのだと。

 

醜いからこそ、美しさにより敏感になり、追求します。

 

 

怪人は音楽の天才であり、他にも、建築やマジックの才能もあるんですね。

おうちもおしゃれで、センス全般いい感じがしますよね。

 

怪人が最初にクリスティーヌを自分の隠れ家に連れてきたとき、中国っぽい服と帽子を着ています。

 

なんで怪人キョンシー(古)みたいな服着てるん?

いつものタキシードの方がかっこいいのにー。

と思っていましたが、あれは、当時フランスで流行っていた、シノワズリという中華風の服らしいです。←四季の公式情報です

だからキョンシーみたいと私が思ったのはある意味合ってたんです。中国だから。笑

 

あの衣装は、怪人が流行に敏感であるということを表しているんだそうです。

怪人は、当時の流行の最先端を取り入れていたんですね。

きめ細かいさすがの演出!

 

そう聞くと、キョンシー姿の怪人も、雄々しくかっこよく見えてくるから不思議だ。←現金な人

 

やっぱあれかな、クリスティーヌが初めて家に来たから、とっておきのいっちょうら引っ張り出してきたんかな。

怪人かわいい。(らぶ)

 

 

と、そんなエピソードからもわかるように、怪人は、芸術的なセンス全般に秀でているんです。

 

 

そして何より何より、音楽の才能ですよね。

 

クリスティーヌが、"音楽の天使"を信じ、惹きつけられた理由の1つは、そこにあります。

 

怪人の声には、催眠のような力があり、クリスティーヌは、その声に恍惚としてしまうんですね。

 

「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」で、クリスティーヌがうっとりしているのは、その状態を表していると思われます。

 

怪人の仮面の下の顔、あるいは怪人のしでかしたことに恐れ、

また一方ではラウルに恋しながらも、

怪人の歌声を聞くと、恍惚として、フラーっとそちらへいってしまいそうになるのも、

怪人の才能、セクシャリティによるものだと思います。

 

 

普段は、人目を忍んで生きている怪人だけど、ひとたび音楽に触れると、セクシャリティが爆発するんですね。

 

怪人の持つ才能が爆発する瞬間です。

 

普段堂々と表現できる場がないからこそ、その内から溢れる情熱を、音楽にぶつけていたのだと思います。

 

怪人が夢中で作曲しているシーンもありますが、そういう瞬間が、怪人が最も自分らしく、自分の才能を発揮できている瞬間なんだと思うんです。

 

 

いやー、クリスティーヌじゃなくても、ミュージック・オブ・ザ・ナイトとか歌われたら恍惚としていまいますよね。

口開きそうになりますわ。笑

 

あの時間は、クリスティーヌと観客の恍惚タイムですね。笑

 

ちなみに私の夢は、怪人にあの体勢↓で、「こころーのおもむくままー!」って歌ってもらって、背中にびりびりその声の振動を感じることです。

変態上等

 

 

 

また、「ポイント・オブ・ノー・リターン」では、怪人が、

「心にひそむ密かな願いに導かれ

お前は来た、ついに、ついに」

と歌っていますが、それこそセクシャリティのことだと私は思います。

劇中劇での歌ではありますが、現実(「オペラ座の怪人」の中の)とシンクロしているすばらしい曲目ですよね!

 

クリスティーヌは、頭では、

「怪人は恐ろしい姿をしているし、人も殺めているし、怖い、逃げたい」と思いながらも、

心の深い部分では、怪人のセクシャリティに惹きつけられているんです。

 

初めて観たとき、結局クリスティーヌは怪人のこと好きなん?嫌いなん?と混乱したのですが、その私の感想も、ある意味正解だったんですよね。

 

恐ろしい!殺される!と恐れているのに、怪人の歌声を思い出したとたんうっとりとした表情になったり、声を聞いてそっちにフラーっと行ってしまいそうになったり。

 

ラウルもそんなクリスティーヌを見て、何で!?と戸惑いを隠せません。

 

クリスティーヌが、怪人とラウルの間で揺れ動くというのは、

単に、「ラウル君もかっこいいけどファントム君も捨てがたい♪」っていう、クラスの2大イケメンの間で迷うみたいな、心の同じ階層内での揺れ動き方ではなくて、

恋をしているのはラウルであって、その正体ややってきたことを知った今、怪人は怖い人のはずなんだけれど、なぜか怪人にはもっと深いところで、本能的に惹かれてしまうという、また別の心の階層間での揺れ動き方のような気がします。

 

もちろん他にも、才能を引き出してもらった恩師としての怪人に対する思慕や、お父さんの投影、怪人の孤独に対する慈愛など、いろんな感情があるとは思うのですが、

1番大きく惹かれているのは、怪人のとてつもなく強力なセクシャリティに、だと私は思います。

 

 

才能が大きすぎるからこその、過酷な怪人の人生だったんだろうなあ。涙

 

その強大なエネルギーを、人々は無意識下で本能的に感じとり、怖れおののいたために、迫害したのかもしれません。

 

天才の宿命なのかもしれませんね。

 

 

 

そしてそして。

このセクシャリティ爆発の怪人を演じる俳優さんもまた、セクシャリティ爆発してますよね。

 

ここで個別に俳優談義を始めると、趣旨がずれちゃうので控えますが、1つだけどうしても言いたいのは、高井治さんのこと。

結局始めるんかい。

 

私は基本的に、この作品丸ごと好きなので、どのキャストの方たちでも楽しみにしているのですが(箱推しというらしいですね)、これまで観た怪人の中で1番好きなのは、知る人ぞ知る、高井治さんです。

 

男らしさもあり、力強さもあり、やさしさもあり、切なさもあり、繊細さもあり、威厳もあり、品もあり、艶もあるあの声(完璧かよ)がまず大好きなのですが、高井治さんが歌われているとき、すごくセクシャリティの爆発を感じます。笑

 

というのも、高井さんは、過去のインタビューやファンの方たちの記録を漁る(笑)と、圧倒的な歌唱力を持ちながら、普段はとてもシャイで控えめで口下手な方みたいなんですね。

かわいい。(らぶ)

 

舞台で歌っているときと、普段の雰囲気に、大きなギャップがありそうな方。

 

また、どんなに褒められても、なかなか受け取らないんですよ、これが。笑

あんなにすごい人なのに、「いやいや」、「まだまだ」、とはぐらかして、褒めことばをまーあ受け取ってくれない。

 

すごく自分に厳しいし、十分すぎるくらいに素敵なのに、どこか自分にコンプレックスがあったり、器用に人付き合いとかできないタイプなのかなとお見受けします。

 

そんな高井さんが、ひとたび歌うと圧倒的な歌声で、

ああこの人は、歌っているときにだけ、内に燃えたぎる情熱を表現できるのね、

これがこの人の本質なのね、

と怪人を垣間見た気になるんですよね。

 

普段が控えめでおとなしそうなので、逆に、その内に抑えられ、秘められている情熱がすごいんじゃないかって、ドキドキするんです。

隠されているものが見たい。

この人の本質が見たい。

隠そうとしているけれど、漏れ出てしまっているその隠しきれていないそれが見たい……!

みたいな。

変態上等

 

ええ、高井さんに怪人を投影しているし、怪人に高井さんを投影しております。

 

やばい、やっぱりかっこいい。

書いててドキドキしてきた。笑

 

 

ーーーということで、問題というのは、そんなに悪いものでもないんです。

 

なんだったら、怪人が見た目にコンプレックスを持って、それによって抑圧された情熱を音楽にぶつけている姿にこそ、色気を感じます。

コンプレックスに苦しむ姿って、妙な色っぽさがあると思う。

自分のことについてはそんなふうには思えないけど、そういうものなんですね。

 

だから、もう、問題とかコンプレックスとか、あるままでもいいやん。

それさえももう魅力なんじゃない?

色気なんじゃない?

セクシャリティのかたまりなんじゃない?

って気さえしてきますね。

 

 

あなたの問題は何ですか?

あなたのコンプレックスは何ですか?

長年悩んでいることは何ですか?

 

実はそこにこそ、あなたの才能が、セクシャリティが、隠れています。

 

 

 

さて、5回に渡って劇団四季版「オペラ座の怪人」について、心理学用語を交えながら書いてきました。

 

これが正解の解釈ということではなく、投影のところでも書きましたが、感じ方は人それぞれで、すべてが正解です。

 

へー、そういう捉え方もあるのねーと楽しんでいただければうれしいです(^▽^)

 

結局、1人の人間に、こんなにいろいろ考え、感じさせてくれる「オペラ座の怪人」はすごいということに尽きますね。笑

 

この作品に出会えたことに感謝です。

 

観たことない方は、今すぐ大阪四季劇場へゴーゴゴー!!! ←書いててテンション上がってきた人。笑

来年、じゃなくてもう今年でした。今年夏までやってるよ。

知らなかったけど、東京では生オーケストラらしいですね!

東京人よ、なぜ教えてくれなかった(大号泣)。

知らんやん

今度東京に来たら絶対行きます(TT)

 

 

まだまだ好きなシーンはたくさんあるのですが、いったんこれでお開きとします。

 

ご意見ご感想、リクエストなどあればぜひお願いします!

同じ熱量で話せるお友達がほしい。笑

 

次回からは、原作も読んだので、それで四季版の理解が深まった点について、ちょっと書きたいと思います。

まだ書くんかい。

 

 

私の冬休みの道楽にお付き合いいただきありがとうございました(^▽^)

需要無視で書いたけど、好きなこと書けて楽しかったなー。

 

 

【おまけ】

私はカルロッタもすごく好きなんですね。

あのど迫力のねちっこい歌声、やみつきになります。

あんな高い声、あんな音圧で歌って、のど大丈夫なの!?と俳優さんが心配になるけれど、ほんとに聞き応えのある歌声ですよね。

クリスティーヌのストレートでピュアな歌声と対照的に、ベテラン感を歌声で表現していてすごい。

プライドの高い扱いづらい女性という役柄ですが、オペラ座プリマドンナ張ってるんだから、あのくらいプライド高くなくてどうするのと思いますね。でも品はあるしね。

カルロッタのハンニバルはほんとテンション上がる楽しみなシーンです。ドンファンもいいよね!

この間観に行ったときも、劇場を出てエスカレーター乗ってる前の女性2人組が、「カルロッタの人すごない?あの声わざとやんな?喉だいじょうぶなん?」と話してました。

わかりますぅー!!!って話に入っていきたかったよ!笑

 

あとね、高井治さんのこと書いちゃったので、高井治さんについてのツイートとかあらためて見てたら、ほんとに共感しかない。ファンのみなさんのときめきとか治への渇望とか、わかりすぎて痛い。せつない。ときめく。なんであんなにすてきな人がこの世に存在するんでしょうねー(TT)はー。高井治さんと結婚したい人生でした。←狂。笑

 

 

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