'それなりに'うまくいっている→を→'おもいっきり'しあわせに

「それなりに恵まれている方だと思うし、それなりにうまくやってきた。・・・あれ、’それなり’って何だろう?」悪くない人生のはずなのに、心から幸せと言いきれない、このままで終わりたくないと思ってしまう。そんなあなたに’おもいっきり’のしあわせを。 @カウンセラーいなこ

怪物と人間の違いを教えてほしい―劇団四季「ノートルダムの鐘」を観てきました!後編

怪物と人間の違いを教えてほしいー劇団四季ノートルダムの鐘」を観てきました!後編

 

 

'それなりに'うまくいっている→を→'おもいっきり'しあわせに

こんにちは、カウンセラーいなこです。

 

さてさてやっと、劇団四季ノートルダムの鐘」の感想後編です!

▽前編はこちら

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ここからバッチバチにネタバレしますよーーー!

 

 

前回は、「石になろう」について書いたのですが、もう1点、どうしても書きたかったこと。

 

それは、カジモドの初登場シーンについてです。

大まかなあらすじはこちらをご覧ください。

 

劇冒頭、フロローが、カジモドを育てることになった経緯が語られます。

そこでフロローに抱かれた赤ちゃんのカジモド(たぶん、いや絶対人形)は出てくるのですが、その後時は流れ、劇上の現在となり、主役である青年となったカジモドが初登場します。

 

 

私が書きたかったのは、そのカジモド初登場シーンなんです。

 

 

カジモドには、あらすじに書いたように、障害があります。

背中にはこぶがあり、

背骨は曲がり、常に前屈姿勢。

歩き方も、足が不自由そうな歩き方。

目は左目しか見えず、

話すのも不自由で、はっきり話せません。

 

それが青年になったカジモドなのですが、その姿で舞台に登場するのではないんですね。

 

"普通の"青年として、あるいは俳優さんとして、カジモド役の方が登場します。

 

カジモドの衣装を着ていないのはもちろん、背中も曲がっていない、こぶもない、白シャツを着たシュッとした男性が、軽く走りながら颯爽と、舞台中央に登場するんですね。

 

 

この日のカジモドは寺本健一郎さん。

 

その状態から、舞台上で、

背中にこぶとなる小道具をつけられ、

右目に墨を塗って見えないことを表現し、

カジモドの衣装である、カーキ色のベストを着せられます。

 

そこから、背中を曲げ、歩容を悪くし、「カジモド」になります。

 

"普通の"青年から「カジモド」になるところを、あえて見せているんですね。

 

 

その演出にどんな意図があるのかはわかりませんが、カジモドがどういう人物かを、ある程度予習していった私は、そこでボロボロ泣けてきました。

 

まだストーリー始まったばかりなのに、なんたる情緒不安定よ。笑

泣いてるのがバレないよう、静かに鼻をすするのが大変でした。笑

 

 

何の涙だったんだろう。

 

うまく説明できないのですが、そのシーンを見ながら、

ああ、そうやんな。

みんな、中身は同じ"ただの人間"やんな。

ということを感じていました。

 

 

そのシーンでは、

教えてほしい

人間と怪物の違いを

みたいな歌が歌われていました。

オペラ座ほど歌詞を覚えていなくてごめんなさい。笑

 

カジモドは、その醜い容姿から、フロローに、怪物のようだと言われてきたんですね。

"カジモド"とは、フロローがつけた名前ですが、できそこないという意味です。

 

だけど、この演出により、“怪物”の中身も、この“普通の”青年なんだということを、まざまざと見せつけられたような感じがして。

 

カジモドの"装備"を次々装着されるそのシーンが、

まるで生まれてくるときに、

神様に、

今世での自分の設定を与えられた瞬間のように見えて。

 

あるいは生まれてくるときに、

自分の魂が、

今世での自分の設定を選んだ瞬間のように見えて。

 

劇中の役が完成したという意味でも、

この世に生まれ落ちたという意味でも、

カジモド誕生の瞬間に見えました。

 

 

人はそれぞれ、生まれた瞬間に、いろんな設定を与えられます。

容姿や身体的なこともそうだし、人種や家柄などなど……

 

そうやって、人それぞれ、

いろんな設定を与えられて、

あるいはもしかしたら、

自ら選んだのかもしれないけれど、

中身はみな同じ、自由な魂なんだよなあ

みたいなことを感じたんですね。

 

それがすごく、胸に迫るものがあって。

 

無性に泣けたんですね。

まだ何も始まっていないのに。笑

 

カジモドは、身体が不自由でままならなくて、小さくなって生きているけれど、中身はこの身軽な青年で、自由な魂なんだよなっていう。

あー。すごく感動したのにうまく伝えられず、歯がゆし。笑

 

 

中身はただの人間というのは、フロローにももちろん言えることで。

 

聖職者として、清く正しく生きてきたフロローが、若く美しい女性エスメラルダに魅了され、欲望を抱き、どんどんと道を外れていくのですが、私は、フロローがエスメラルダに欲望を抱いたこと自体が悪いことだとは思わないんですね。

 

そこではなくて。

 

美しい女性、

しかも自分が悪とみなし

排除してきたジプシーの女性に、

魅了され、

欲望を抱いた自分を、

認められなかったこと。

 

"聖職者"の自分も、

ただの男であり、

ただの人間であるということに、

向き合えなかったこと。

 

問題があるとしたら、そこだと思うんです。

 

 

そんな自分を認められず、向き合えずに、

体のいい、もっともらしい、ウソの理由をこじつけて、

自分の欲望を満たそうとしたから、

おかしくなってしまったんだと思うんですね。

 

 

聖職者である前に、1人の男であり、1人の人間やねんから、いいやんか。

そんなに罪の意識を持たなくたって。

人間として、当然のことやん。

自分の気持ちに素直になればいいやんか。

 

 

、、、と私が言えるのは、現代日本に生きているからかもしれません。

 

あの時代、あの立場で、フロローが受けてきた教育を考えると、自分の中に湧いたそんな欲望を素直に認めるのは、そう簡単なことではなかったのだと思います。

フロローにとっては、これまでの自分が全否定されてしまうような、これまでの人生がすべてひっくり返ってしまうようなことですよね。

 

 

……とフロローのことを偉そうに言ったけれど、

こんなことは、状況は違えどいろんな場面で、

誰もがやったことのあることでもあります。

 

認めたくない、見たくない自分の感情に、

蓋をして、なかったことにしたり、

もっともらしいウソの理由をつけて正当化したり、

相手のせいにしたり、

遠回しにコントロールしようとしたり。

そういうことを人は、多かれ少なかれ、無意識にやってしまいます。

もちろん私も。

 

 

フロローは、悟りを得た聖職者然としているけれど、本当の悟りとは、清く正しく、絶対に間違わない立派な存在になるということではなく、自分も含めたすべての人が、ただの人間である、ということを受け入れるということではないかと思います。

 

悟りを得たことをステイタスのようにし、立派で特別な人間になろうとする人もいますが、それは、自分を着飾るアイテムを、物質的なものから精神的なものに変えただけ。

 

本当の悟りとは、誰もがただの人間であることを受け入れること。

醜い部分も、間違ってしまうことも含めて、すでに完全であることを知ること。

すでに完全であるから、何かになろうとしたり、どこかに行こうしたりする必要がなくなり、今ここを生きるだけでよくなること。

そういうことなのではないかと思います。

 

……と、話がそれてきましたが、その冒頭シーンがとにかく泣けました。笑

 

私も他の人も、いろんな設定を背負って、みんなほんとによくがんばって毎日生きてるよなあ、愛おしいなあっていう、人間愛的な涙だったのかもしれません。

 

ことばは少ないのだけど、胸に迫るシーンでした。

 

 

ということで以上、劇団四季ノートルダムの鐘」感想でした。

恋愛要素もあるけれど、人間ドラマっていう要素が断然強いかなと思います。

そしてカジモドが、とにかく素直に応援したくなるキャラクター!

健気で愛おしい主役です。

あと少しで京都を去っちゃうので、関西の方はぜひご一見あれ(^^)

 

 

次は、ちょこっと心理学的に考察シリーズを、「ノートルダムの鐘」で1記事だけ書きたいと思います。

ってまだ鐘続くんかい!笑

へへ、これ心理学用語の解説にわかりやすいなって思ったシーンがあって、どうしても書きたくて。

「オペラ座の怪人」をちょこっと心理学的に考察リーズは、感想と心理学的考察をごっちゃに書いちゃって、とっちらかって我ながら読みにくかったので(それなのに読んでくださったみなさま、ほんとにありがとうございます!!!)、今回は、感想と、ちょこっと心理学的に考察シリーズを分けました。

ということで、またぜひぜひ見にきてくださいねー!

ありがとうございました(^▽^)

 

 

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京都は大阪より寒かった。
でももうすっかりあたたかくなって、
ほんの1週間ちょっと前のことなのに、遠い昔のようです。
季節はどんどん巡るなあ。

 

 

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