「オペラ座の怪人」がよりおもしろくなる?原作のおはなし④ー人間みあふれる怪人像ー
’それなりに’うまくいっている→を→’おもいっきり’しあわせに
こんにちは、カウンセラーいなこです。
妙な釣りみたいなタイトルで続けていますが、今日も好きな気持ちだけで書きますよー!
アンドリューロイドウェバー版や四季版の「オペラ座の怪人」が好きで、原作を知るとそのイメージが壊れそうでいやという方は、読まないでくださいね!
原作小説から、私の大好きな四季版「オペラ座の怪人」の、より理解が深まったなと感じるところを書いていくシリーズ。
本日は、「人間みあふれる怪人像」です。
「オペラ座の怪人」の原作小説と、ミュージカルの関係はこちら↓に書いているのでご参照くださいねー。
【四季版「オペラ座の怪人」の理解がちょっと深まる原作シリーズ】
▽たくさん読んでいただいているこちらもぜひどうぞ。
【オペラ座の怪人をちょこっと心理学的に考察シリーズ】
ここからネタバレしますよーーー!
人間みあふれる怪人像
劇団四季の「オペラ座の怪人」は、割と感情の表現が控えめで、どちらかというと譜面に忠実に歌うということに重きを置かれていたようなのだけれど、ここ数年で、演出が新しくなり、感情表現が豊かになっているようです。
そう言われれば、私が初めて観たのは、前回の大阪公演だから、十数年前だと思うのですが、その時の怪人は、非常にノーブルな印象を受けました。
その怪人こそが、なにをかくそう高井治さんです。(らぶ)
初めて「オペラ座の怪人」を観たのが四季版で、それどころかミュージカルも初めてだったので、そういうものだと思っていましたが、そう言われれば、今回の大阪公演は、昔観たファントムより、人間みがあって、喜怒哀楽がわかりやすい感じがします。
他の登場人物もですね。
特にクリスティーヌとか。
この、演出が変わったことについては、ファンのみなさんの中でも、賛否両論あるようです。
初期の刷り込みって大きいよなあって思うのですが、最初に観たのがどれかで変わってくるところもあるんじゃないかと思います。
同じアンドリューロイドウェバー版でも、本家のブロードウェイとかは、もっと感情表現が豊かみたいですね。
お国柄もあるだろうけど、そちらを先に観た人は、これこそ!と思うのかもしれない。
もちろん個人の好みもあるだろうけれども。
私は、初めて観たのが、四季のノーブル怪人だったので、怪人とはそういうものっていう刷り込みがあります。
いろいろあるけど、やっぱり怪人は音楽を愛しているだろうから、音楽の前では品を失わないでほしい、っていう思いがあるんですね。
だから、新演出が嫌というわけではないけれども、音楽家としての偉大さだとか、音楽に対する尊敬とか、音楽の前での品だとかは保って、観客に、怪人に対する畏敬の念を感じさせてほしいっていう思いがあるんですよね。
何様よ
なので、あまり喜怒哀楽が激しすぎたらどうかなー、、、って新演出を危惧してたんだけれども、
何様よ
原作を読むと、スーッと受け入れられました。
なので、昔より感情表現がはっちゃけ気味(笑)の新演出はちょっと……と思う方にこそ。この先は読んでいただきたい!
何様よ
原作の怪人は、新演出の比じゃなく人間みあふれてるんですね。笑
小説だから、ミュージカルより詳細な感情描写とか台詞が書けるってのもあるだろうけど。
あまりに人間みあふれてるので、たぶん絶対笑いどころじゃないだろうけど、何回か声を出して笑ってしまいました。
まず、怪人の望みっていうのが、ほんとにかわいらしかったんです。
クリスティーヌに自分を愛してほしいと懇願するときに、
「もうこんな地下暮らしは嫌なんだ!
私も普通のマンションに住んで、日曜には妻と一緒に公園を散歩したいんだ!」
みたいなことを言ってます。
え、怪人かわいい。
そんなことでいいの?
そんなことでいいのかい?
そんなんでいいなら、私のうちおいで?
大阪城公園もあるし、おいしいパン屋さんでパン買って公園で食べよ?
そう思いましたよね。
そっかー、怪人が望むのは、ごく"普通の"幸せなんだなあ。
四季版を観てると、怪人の天才っぷり奇才っぷりにフィーチャーされてて、あまり一個人として怪人を見ないけど、あの生い立ち、あの生活をしていたら、そういう"普通の"幸せが何よりほしいんだなあとあらためて思いました。
いや、それって普通じゃないかも。すごい幸せだよね。
地下のおしゃれなキャンドルとかこだわりのお部屋で、自分なりのお城を築いて、そこそこ満足してそうに見えなくもないんだけど、そりゃ、ずっと地下暮らしは辛いよね。
地下で湖まであって、湿気もすごいよね。
毎日住むにはなかなか劣悪な環境かも。涙
他にも、クリスティーヌを初めて地下に連れてきたとき、
「私を愛してくれさえしたら何もしないから。
お願いだから私を愛すると言っておくれ。」
と泣いてすがったり。
かわいくないですか?
ある意味素直ですよね、四季版の怪人より。笑
あとは、お母さんのことをちらっとだけ話すシーンがあるのですが、
「あのおふくろは、キスもさせてくれなかった」
って言うんです。
え、怪人、今、おふくろって言った?(そこは訳し方次第やけども)
怪人の口から家族の話っていう時点で、かなり普通の人みを感じました。笑
そうだよな、怪人も、普通に毎日食べて寝て排泄もしてる(言うな)人間なんだよなーとあらためて思った次第です。
それにしても、お母さんにもキスさせてもらえなかったっていうのは辛いよね。
西洋諸国では特に。
日本なら、キスなしでも、そんなもんかなと思わないでもないけど、、、いや、子どもがお母さんにしようとして毎回拒否されたらやっぱり印象に残っちゃうよな。。
ということで、そういう原作の怪人を知ったら、そりゃそうか、その生い立ちで、誰にもどころかお母さんにさえ愛された実感が持てなかった人生だったら、そんなにノーブルばかりではいられないよなって自然に思えたんですよね。
怪人には、満たされない思いがいっぱいある。
何も悪いことをしていないのに、会う人会う人みんなから、目を背けられたり迫害されたりしてきた。
怒りと、その奥にある悲しみ。
そんなものを生きてきた年数分抱えているのだから、いつもいつも冷静で紳士で品を保っていられるわけはないんですね。
そうありたいと、紳士のように振る舞っても、やはり追い詰められたらそれは剥がれてしまう。
自分勝手にもなるし、子どもっぽくもなる。
それが当然かなと思いました。
なので、個人的には、せめてクリスティーヌに仮面を剥がされるまでのミュージック・オブ・ザ・ナイトまでは、品と音楽家としての偉大さを感じさせてほしいけれど、終盤につれては、子どもっぽくなったりする演出もありかなあと思っています。
何様よ
演出や演じ方にはいろんな意見があって、いろんなファンの方の感想を楽しく読んだりしているのですが、私自身は、好みはあるけれど、どれもその1回1回が、それぞれ独立した作品だと思うので、原作やブロードウェイ版に忠実であってもなくても、毎回一期一会で、どれもありだなあと思っています。
何様目線よ
ということで、人間みあふれる原作の怪人像のおはなしでした。
次回は、ミステリアスな怪人のいろんな能力について書きますね。
お楽しみにー!
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